タクシーに乗り込んで、「○○の近くまでお願いします」と建物の名前を告げました。
「○○さんの家に行かれるんですか」と運転手さん。
「ええ、そうですけど。わかりますか?」
「わかりますよ。○○さんは、何度かお乗せしましたから。○○さんに、何か教わっているんですか」
「お茶です」
「ああ、お茶ですか。あの方は、山の頂上まで行かれた方だと思いますが、お客さんも同じ山を登っていることがわかりますね」
「わかりますか?」
「ええ。あと、○○さんは、極道の妻のような雰囲気をお持ちですが、極道の妻とはやはり違う。極道の妻のなかにも、山の頂上に行かれた方もいらっしゃいますけど、○○さんとは、別の山ですよね」
「そんなことがわかるんですか?」
「わかりますよ。お客さんはまだ頂上まで行ってないかもしれないけれど、 ○○さんと同じ山を目指されているということはわかります」
「それは、光栄です」
わずか、五分くらいの間に、運転手さんと交わした会話です。
まだ、お若い運転手さんでしたが、わたしたちの先生のことをよくわかって いらっしゃると思ったことでした。